協会だより

夢を追って

新潟馬主によるリレーエッセー

共有馬代表者に選任されて

新潟馬主協会 藤田 岳彦

2017年1月4日

 私は三年前にJRA馬主資格を取得し、新潟馬主協会に入会しました。
現在、中央大学理工学部教授として、確率論、金融工学、保険数理などを研究教育しています。


 馬主資格を取った次年度からブリーズアップセールに興味を持ち、2014年3月に行われた宮崎でのブリーズアップ下見会にも参加してきました。その時に一番欲しいなと思った馬は現ノーブルルージュで2014年のブリーズアップセールでは私は購入できませんでしたが新馬戦で勝ち上がり、先日2勝目を挙げました。
さらに2015年度になり、棚網資源委員長より資源委員を拝命し、他の資源委員の方たちと2015年度新潟馬主会共有馬を選定すべく、3月に第一回資源委員会の会合では、ブリーズアップセール資料に基づき各自が候補馬を選びました。

藤田 岳彦写真

また、同時に希望者の中から抽選により2015年度共有馬の代表馬主に私が選任され、活動することになりました。勝負服(阪神タイガースファンなので黄と黒を基調とした、黄、山形一本輪、袖黒縦縞です。)は前年に既に準備してありました。


 2015年も宮崎で開かれた下見会に参加し、これと思った馬に目星をつけていました。2015年ブリーズアップセールは4月28日(火)に開かれましたが、私は前の週の木曜日に中山競馬場に下見に行き宮崎で選んだ馬と新しい日高の馬を確認していました。すると偶然、預託予定厩舎の斎藤誠先生にもお会いできました。次の日の金曜日にセール前の最後の選定会合を斎藤先生を交え行い、候補馬を選定しました。

さて、当日になりいざセリが始まると選定馬のほとんどが高くビッドされ、セリ負けてしまい残りの馬も少なくなってきたのですが、ラスト1ハロン11.1(2ハロンは計23.6)の一番時計でパイロ産駒のバラベルサイユの14が良さそうな感じがして、急遽、斎藤先生にもお聞きしたところ、私も気になっていて走りはすごく良く、ダートで走る可能性が高いとの進言を受け、チャレンジすることになりました。リザーブ価格は確か600万円だったと思いますが、やはり人気がありどんどんせり上がり、気がつけば予定の1200万円を超える状況になってしまいました。

そこで棚網委員長を見たところ、もっとどんどん行けという指示をしてくださったので行けるところまで行こうという気になり、1350万円のビッドを出した時、会場が静かになり相手が降りた感じがしたのですが、早くハンマーを下ろしてくれとドキドキしながら待っていたところ待望のハンマーが下りました。

そのハンマーの音は聞こえたのですが、自分が落としたのかどうか一瞬わからなくなり、司会者の方に促されて番号をしらせました。司会者の一人の浅野靖典さんは前から少し存じ上げておりますが、後にお会いしたとき、私が落札した瞬間を鮮明に覚えてられ、私のびっくりした顔が印象的だったと言われました。その後皆で写真をとり、手続きや斎藤誠厩舎に送り出す準備を済ませました。また、馬名は母馬のバラベルサイユから、ベルサイユ宮殿を作りフランス絶対王政を確立した太陽王ルイ14世が統治した素晴らしい世紀(フランス語でルグランシエクル(大世紀))を少し言いやすくしてルグランシェクルと名付けました。

ルグランシェクル 2016 第1回中山3歳未勝利 ルグランシェクル 2016 第1回中山3歳未勝利

 その後、しばらくの間松風馬事センターに放牧に出して、6月に斎藤誠厩舎に入厩しました。また、私は社台グループツアーに毎年参加しているのですが、その帰りにルグランの生産牧場の日高木村牧場にも行き生産者の方にも話を伺い、ルグランシェクルの母馬のバラベルサイユにも会うことができました。

 デビューは7月4日福島のダート1150mに決まりました。そこで少し困ったことが起こりました。私は日本数学オリンピック財団の専務理事をしており、7月の国際数学オリンピックには団長で行くことが多く、2015年のタイ大会も団長としての出発がルグランの前日の7月3日でした。そこで、応援などを家内と義父に頼み、また共有メンバーの程田さん、田中さん、橋詰さん、種村さん、高橋さんたちと福島に応援に行ってもらいました。調教も良かったので3番人気に指示され戸崎騎手のもと新馬勝ちもあるかなと思っていました。しかし、タイではレースを見ることができないので終わった頃、フェイスタイムで家内と連絡したところ、思いがけなく全くダメの殿負けという結果の知らせに驚き、またレース後の検量室でも斎藤先生は全然原因がわからないとのことでした。帰りの新幹線では家内と義父はあまりの結果に無言だったようです。

 帰国後斎藤先生と連絡を取り合い、また、美浦斎藤厩舎にもルグランの激励に行き、2戦目は8月15日の新潟ダート1200mと決まり、変わり身はあるだろうということでした。実際にもレースはもう少しで勝とうかという2着で、共有者の皆さんとゴール前、「差せ差せ」と大声を出したことは懐かしい思い出です。その後3着、4着2回、2着など入着を繰り返し賞金をかなり稼いでくれた後いよいよ初勝利の日がやってきました。2016年1月9日(土)中山1Rのダート1200mです。

 もう一頭強そうなリバティクイーンという馬との戦いかなと思いましたが一番人気(単勝2.0倍)に支持されパドックの気配も良く行ける感じがしました。

レースでは序盤から二の脚がついた所で積極的に先頭に立つと、しっかり折り合って4コーナーを回り、直線でリバティークイーンに一度並ばれて激しい追い比べになり一度は先頭を取られましたが、私も含む共有メンバーの「差せ差せ」という大合唱の後押しもあったのか、
ゴール前でグイッと差し返して1/2馬身差で見事初勝利をおさめました。新潟馬主会共有馬としては、久しぶりの勝利らしく(飯塚会長より絶対勝てとの厳命もいただいておりました。)代表馬主としての肩の荷がおりホッとしました。

【口取り】ルグランシェクル 2016 3歳未勝利 【口取り】ルグランシェクル 2016 3歳未勝利

ちなみにルグランの初勝利であると同時に現在リーディングの戸崎騎手、斎藤先生の2016年初勝利でもありました。タイムも1分12秒7と優秀な時計でした。
 その後夢見心地の口取りを皆で済ませ(東スポの館林さんもお祝いを言いにきてくれました。)、馬主席のレストランでプチ祝勝会を済ませ嬉しい帰途につきました。

 このように馬主としていろいろな経験をさせていただき、また、ルグラン自身も頑張ってくれました。新潟馬主協会共有馬制度は他の馬主協会には無い素晴らしいものだと思っております。一人でも多くの会員の皆さんに新潟馬主協会の共有馬制度に参加いただき、私のように共有メンバー間の交流を通して馬主としての醍醐味・喜びを体験して頂きたいと思います。

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